サンゴ移植再開
すでに報道されているように、7月29日、沖縄防衛局は大浦湾のサンゴに対する移植を強行しました。
サンゴの移植(移植自体が成功率の低いものですが)で失敗しやすく死滅させると言われている夏の高水温期にも関わらずです。
夏の高水温期はただでさえサンゴにとって大きなストレスを受ける時期であり、また産卵の時期で体が弱っているサンゴも多いため移植の成功率は低いと専門家も指摘しています。また沖縄では台風の時期なので移植先にサンゴが定着する前に流されてしまうという可能性もあります。
そもそも埋め立て予定地にある移植対象のサンゴは約7万4千群体と言われ、今回の移植強行前に移植が終わっていたのは9群体のみでした。この9群体も2018年7月から8月の高水温期に移植され、このうち4群体は2019年9月までに死滅または消滅が確認されています。
沖縄県は、2019年に防衛局から申請が出ていたサンゴ(※1)について、裁判結果をふまえて7月28日に移植許可を出さざるを得ませんでした。しかし、サンゴ保護の観点から、高水温期(5月~10月)を避けることや週に一回の経過観察を行い県に報告するなどの条件をつけました。
防衛局の今回の移植強行は、この条件を早くも翌日に反故にした形です。
また、高水温期を避けるという専門家の意見にも耳を貸さず、過去の高水温期の移植でサンゴを死滅させたことの反省もありません。
県は7月30日に大浦湾の視察と防衛局の行政指導を行いましたが、防衛局が指導に応じないため移植許可を撤回するに至りました。
これに対し、防衛局は県の移植許可撤回を不服として、農水大臣に行政不服審査を申し立てを行いました。
行政不服審査は、本来市民を行政の不当な行為から救済する制度と言われています。これを国の機関である防衛局が使い、その申し立てを身内とも言える農水大臣が審査することは、辺野古新基地建設関係で過去にも行われ、行政不服審査の趣旨からも地方自治の観点からも問題視されてきたものです。
しかし、大臣は早々と8月5日に県の「移植許可撤回」を停止する措置を行いました。これによってサンゴ移植の許可が撤回されている状態ではなくなったので、再び防衛局は移植を強行できることになってしまってい、これによって早々に8月6日にサンゴ移植が再開されました。
国はコロナ関係では動きが遅いですが、環境保護に関わり慎重な判断が求められることでも、新基地建設関係では実に対応が早いと言えます。
8月には設計変更の不承認を巡る大きな動きがあると思われますが、サンゴの移植を巡っても動きが激しくなることでしょう。
ぜひ全国からも防衛局の無謀な移植を批判し、辺野古・大浦湾を守るための声をあげていただきたいと思います。
※1 2019年に申請が出ていたのは、移植対象7万4千群体のうちの約4万群体。7月の移植強行時にこのうちの一部が移植されたと思われますが、詳しい数は現在不明です。
写真は7/30に大浦湾に視察にあらわれた沖縄県漁業取締船「はやて」
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